「なんとなく勧められるままに加入した保険に、そのまま入り続けている」という方は少なくありません。生命保険や医療保険は、万が一の際の家計を守る重要な備えですが、必要以上の保障内容や重複した保障によって、毎月の保険料が家計を圧迫しているケースも多く見られます。この記事では、保険を見直す際の基本的な考え方と、必要な保障を見極めるための具体的なポイントについて解説していきます。
なぜ保険の見直しが必要なのか
保険は、加入した時点でのライフステージや家族構成、収入状況に合わせて設計されるものです。しかし、結婚、出産、住宅購入、子どもの独立、転職など、ライフステージが変化するにつれて、本来必要な保障の内容や金額も変わっていきます。
若い頃に加入した保険をそのまま見直さずに続けていると、現在の生活実態に合わない保障内容になっていたり、公的な社会保障制度で十分にカバーされる部分にまで重複して民間保険で備えていたりすることがあります。定期的に保険の内容を見直すことは、無駄な保険料の支払いを防ぎ、家計を最適化する上で重要な取り組みです。
保険を考える上での大前提:公的保障を知る
民間の保険を検討する前に、まず理解しておくべきなのが、日本には手厚い公的な社会保障制度が存在するという点です。
高額療養費制度
医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。所得に応じて自己負担限度額が定められており、たとえ大きな手術や長期入院が必要になった場合でも、実際の自己負担額は一定の範囲に収まる仕組みになっています。
傷病手当金
会社員や公務員が加入する健康保険には、病気やケガで働けなくなった場合に、一定期間、給与の一部が支給される「傷病手当金」という制度があります。長期の療養が必要になった場合の収入減少に対する備えとして機能します。
遺族年金
万が一、家計を支える人が亡くなった場合、公的年金制度から遺族に対して「遺族年金」が支給されます。遺族の年齢や家族構成によって支給額は異なりますが、民間の死亡保険を検討する際には、この遺族年金でどの程度カバーされるのかを踏まえた上で、不足分を民間保険で補うという考え方が基本になります。
こうした公的保障の内容を理解しないまま民間保険に加入すると、必要以上に手厚い保障をつけてしまい、保険料の負担が過大になってしまう可能性があります。
保険を見直す際の基本的な考え方
「保険は貯蓄ではなく、保障である」という原則
保険は、発生する確率は低いものの、発生した場合の経済的な損失が非常に大きい事態(死亡、高度障害、大きな病気やケガなど)に備えるためのものです。貯蓄でカバーできる程度のリスクにまで手厚い保険をかけることは、必ずしも合理的とは言えません。「保険で備えるべきリスク」と「貯蓄で対応できるリスク」を切り分けて考えることが、保険選びの基本です。
必要保障額を具体的に計算する
死亡保険を検討する際は、「万が一の場合に、遺族の生活費としてどれくらいの金額が必要か」から、「遺族年金や現在の貯蓄でどれくらいカバーできるか」を差し引いて、不足する金額(必要保障額)を具体的に計算することが重要です。この必要保障額は、子どもの成長とともに教育費の見込みが変わったり、住宅ローンを完済したりすることで、時間の経過とともに変化していきます。
保険を見直す際にチェックすべきポイント
1. ライフステージに保障内容が合っているか
独身時代に加入した高額な死亡保障が、結婚・出産を経てもそのまま続いていないか、逆に子どもが独立した後も、子育て世帯向けの手厚い保障がそのまま残っていないかなど、現在のライフステージに保障内容が合っているかを確認しましょう。
2. 保障内容が重複していないか
複数の保険に加入している場合、医療保障やがん保障などの内容が重複していないかを確認しましょう。特に、就業先の団体保険と個人で加入している保険とで、保障が重複しているケースは少なくありません。
3. 保険料が家計に対して適正な水準か
一般的に、保険料の目安は手取り収入の5〜7%程度とされることが多いですが、家庭の状況によって適正な水準は異なります。家計全体における保険料の割合が過大になっていないか、家計簿などをもとに確認してみましょう。
4. 貯蓄型保険と掛け捨て型保険の特性を理解する
貯蓄性のある保険(終身保険や養老保険など)は、保障と貯蓄機能を兼ね備えている一方、掛け捨て型の保険(定期保険や医療保険の多くなど)に比べて保険料が割高になる傾向があります。貯蓄を重視するのであればNISAなどの資産形成制度と保障を分けて考える、保障を重視するのであれば割安な掛け捨て型を選ぶなど、保障と貯蓄の機能を分けて検討することも一つの考え方です。
保険の見直しを行う具体的な流れ
ステップ1:現在加入している保険の内容を整理する
まずは、現在加入しているすべての保険について、保障内容、保険料、保険期間などを一覧にまとめてみましょう。保険証券や契約内容のお知らせなどを確認することで、現状を正確に把握することができます。
ステップ2:公的保障の内容を確認する
高額療養費制度や傷病手当金、遺族年金など、自分が受けられる公的保障の内容を確認し、どの程度のリスクが公的保障でカバーされるのかを把握します。
ステップ3:必要保障額を計算する
現在のライフステージや家族構成を踏まえ、万が一の際に本当に必要となる保障額を具体的に計算します。
ステップ4:過不足を調整する
現在の保障内容と、計算した必要保障額を比較し、過剰な部分は減額や解約を検討し、不足している部分は新たな加入を検討するなど、保障内容を最適化していきます。
保険の見直しに関するよくある質問
Q1. 保険の見直しはどれくらいの頻度で行うべきですか?
明確な決まりはありませんが、結婚、出産、住宅購入、転職、子どもの独立といった大きなライフイベントのタイミングで見直すことが基本とされています。それ以外にも、特に変化がなくても3〜5年に一度程度は保障内容や保険料が現状に合っているかを確認する習慣をつけておくと、無駄な保障や保険料の払いすぎを防ぎやすくなります。
Q2. 保険の見直しは誰に相談すればよいですか?
保険会社の担当者やファイナンシャルプランナーなどに相談する方法がありますが、特定の保険会社の担当者は、その会社の商品を勧める立場にあることが多い点には留意が必要です。複数の保険会社の商品を中立的な立場で比較検討したい場合は、独立系のファイナンシャルプランナーに相談したり、複数の保険相談窓口を利用して比較したりすることで、より客観的な視点を得やすくなります。最終的には、提案内容を鵜呑みにせず、自分自身でも必要保障額を計算し、納得した上で判断することが大切です。
Q3. 保険を解約すると損をすることはありますか?
貯蓄性のある保険を短期間で解約すると、それまでに支払った保険料に対して、解約返戻金が下回る「元本割れ」となる場合があります。特に加入から日が浅い場合、この元本割れの幅が大きくなる傾向があります。解約を検討する際は、契約内容を確認し、解約返戻金の見込み額や、保障がなくなることによる影響を十分に考慮した上で、慎重に判断することが重要です。不明な点があれば、解約前に保険会社に直接確認することをおすすめします。
まとめ
保険の見直しは、単に保険料を安くすることだけが目的ではなく、公的保障とのバランスを踏まえながら、現在のライフステージに本当に必要な保障を過不足なく確保することが目的です。「保険は貯蓄ではなく保障である」という原則を意識しながら、定期的に保険の内容を見直すことで、無駄な保険料の支払いを防ぎ、その分を資産形成に回すことができます。まずは現在加入している保険の内容を整理することから、見直しの第一歩を始めてみましょう。


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